プロ写真家コラム③ 写真撮影のルールとマナー

写真撮影のルールとマナー

「街中でのスナップ撮影時」には、人物の入った光景を捉えた写真が、「肖像権」の問題で撮りにくいという過剰反応が起きていますが、撮影する際には、盗撮するような態度ではなく、会釈を送るなどの暗黙の了解を得るとか、撮影して良いか?コミュニケーションをとりながら撮影するなど節度あるマナーが大切です。
「公園や観光地での撮影時」には、苔や植物を傷めてしまうことになりますので、立ち入り禁止の場所への進入は避けて欲しいです。また、木々の枝が撮影の邪魔になるからといって、折ってしまう事件が起きています。三脚については、他の観光客の邪魔になったり、立ってた三脚につまずいて、倒れた三脚によって重要文化財が壊れたりする事例もあります。また、三脚の脚を伸ばしたままでの移動も危険ですのでやめましょう。
北海道の美瑛町の観光名所「哲学の木」が所有者によって伐り倒されたという報道がありましたが、写真撮影の観光客が周囲の畑を踏み荒らすマナー違反が原因で、靴底や衣類についた細菌が畑に持ち込まれて作物に感染して大被害をもたらすことになったのです。一部の非常識な写真愛好家や観光客の迷惑行為のせいで、撮影ができなくなりますのでマナーは守ってほしいです。
「観光地の路地での撮影」時には、土地の皆さんが日常生活している裏庭や私的空間に勝手に入り込んで写真を撮ることはいけません。まず、その家の人に声をかけ、撮影の許諾を得ること、ちょっとした会釈や挨拶によって気持ちよく写真を撮らせてくれることでしょう。
「野鳥を撮る」時には、巣への接近禁止、野鳥を追い回さない、餌づけや環境改変を行わないなど、周りの人たちに迷惑がかからないように、フィールドマナーを守りましょう。
撮影した写真をSNSに掲載することで大勢の方々と共有できる時代になりましたが、思わぬトラブルのないように撮影、発表のルールとマナーを守ることで、写真を楽しみましょう。
写真家:熊谷 正(公益社団法人 日本写真家協会会員)
参考出典「SNS時代の写真ルールとマナー」日本写真家協会編・朝日新書刊